グスタフ・マーラーに関する本は何冊か読みましたし、あらためて購入することもほとんど無くなっていたのですが、たまたま中古CDショップの書籍コーナーで立ち読みをしていたところ一冊の本に目が留まりました。
それが柴田南雄・著の「グスタフ・マーラー 現代音楽への道」(1984年刊行)でした。この本は主にマーラーのシンフォニーの第1番から第10番までを順にたどり、曲の分析や解説と共にマーラーの生涯に触れながら書き進められています。
各曲の初演記録や日本における初演にも詳しく書かれているのですが、第9番の最後にこう書かれていました。
『最後に、「第九」の日本人による本邦初演は1973年5月に森正指揮のN響が行ったが、その後日本にはマーラーの第九をともかくも自分たちの手で演奏したアマチュアの人たちが居ることを紹介しておこう。アマチュア初演はどうやら、1979年5月11日、東京浅草公会堂での「マーラー交響曲第9番特別演奏会」(久志本涼指揮、東京周辺の19大学のオーケストラの有志による)であり、第二回目は1983年1月23日、五反田の簡易保険ホールでの新交響楽団定期公演(山田一雄指揮)であったようだ。わたくしは残念ながら両回とも不参であった。』
実は、立ち読みしながらこの部分に驚いてしまったのです。その1979年のアマチュア初演こそは、大学卒業直後の春に自分がヴィオラで参加した演奏会だったからです。
当時はそんなことを少しも知らなかったですし、他のメンバーからもそんな話を聞いた記憶は有りません。
マーラーだけでなくあらゆるシンフォニーの中でも最も好きなこの曲の38年も前に参加した演奏会がそんな歴史を持っていたとは全く知りませんでした。